【レビュー】ズームフライ6は同価格帯では最高品質
こちらの記事では、2024年10月25日に先行発売された
ナイキの「ズームフライ6」をレビューしたいと思います。
このズームフライ6は、
厚底シューズのパイオニアである
ヴェイパーフライのトレーニングモデルとして登場。
隠れた名作としても知られる人気のあるシューズです。
事前評価でも非常に高評価であったズームフライ6を
ランニングベースメントでも実際に使ってみて
しっかり評価してみたいと思います。
目次
商品詳細
今回紹介するズームフライ6の詳細は下記の通り。
シューズの厚さ:42mm公式サイト:NIKE
※シューズの厚さが40mm以上となっています。
陸連公認記録ではシューズの厚さ制限があり40mm以内でなければなりません。
ですので、シューズのチェックが入るマラソン選手権や、上位入賞を狙うレースでは使用不可です。
一般的にはシューズのチェックは入ることはなく、タイムも公認記録と認められますのでほとんどのランナーには
関係はないかもしれませんが注意が必要です。
ズームフライのアップデート点
今作で6代目のズームフライ。
これまでのアップデート点を下記にまとめます。
ズームフライ1 (2017年発売)
- ルナロンフォーム
- カーボンプレート搭載(前足部のみ)
- 重量: 約248g
初代ズームフライは、ルナロンフォームと呼ばれる素材を使用。
またカーボンプレートも前足部のみ搭載。
ズームフライ2 (2018年発売)
- React フォームミッドソール
- カーボンファイバー製プレート搭載
- フライニットアッパー採用
- 重量: 約238g
二代目からリアクトフォームを採用。
よりクッション性のある素材となりました。
ズームフライ3 (2019年発売)
- React フォームミッドソール
- カーボンファイバー製プレート搭載
- VaporWeaveアッパー採用
- 重量: 約258g
3はマイナーチェンジ。
アッパー素材の変更がメインで重量も重くなりました。
このあたりからヴェイパーフライの品薄感もなくなり、
市民ランナーでもヴェイパーフライが買えるようになりました。
その影響や、重量増しの影響もありズームフライを
ヴェイパーフライの代用として使用されるシーンは少なくなったように思います。
ズームフライ4 (2021年発売)
- React フォームミッドソール
- カーボンファイバー製プレート搭載
- メッシュアッパー採用
- 重量: 約249g
4に関してもマイナーチェンジ。
アッパーの変更と10gの軽量化。
ズームフライ5 (2022年発売)
- ZoomX フォーム + EVAソールの2層構造
- カーボンファイバー製プレート搭載
- メッシュアッパー採用
- 厚さアップ(かかと部42mm)
- 重量: 約268g
ズームフライ5から、ヴェイパーフライなどにも使われる
ナイキのハイエンドミッドソール素材である「ZoomX」を採用。
しかし、再度重量が増すアップデートとなっていたようです。
ズームフライ6 (2024年発売)
- ZoomX フォーム増量 + EVAソールの2層構造
- カーボンファイバー製プレート搭載
- 2層構造メッシュアッパー採用
- 前作から10%以上の軽量化
- 重量: 約238g
ZoomXの割合が増量。
重量も過去最高級な軽さとなり、ハイエンドモデルのトレーニングモデルという
コンセプトにもやや戻ってきた印象。
購入経緯
ズームフライは初代を気に入って使用していましたが
それ以降は、遠のいていました。
店頭では発売されてから試し履きはするものの
重いシューズだなと感じることが多くなり、
購入までは至らなかったのですが、
今作から軽量性が高まり、
初代の頃のようなレーシング仕様になっている
という事前評価もあり購入。
実際に手に取ってみてもこれまでにない軽量性を感じれました。
実際に使用:シューズへの適応が必要
32km走で試し履き。
トレーニングプログラムの位置付けはイージーペースでの脚作りと
ややリカバリーの意味も込めたトレーニングなのでペースはあまり追い求めすぎない設定での
距離走となります。
使用し始めて感じたのは、ふくらはぎの疲労感。
テンポアップシューズで感じるのが、
シューズのレスポンスの高さとシューズの重量性の不一致感です。
どうしても重く感じてしまい、足首の底屈気味フォームになってしまう感じがあります。
トレーニング中盤で山登りのコースに入ります。
最初に感じていたふくらはぎの疲労を修正するために
足首を固定するような感覚で走行。
登りの傾斜もあいまり、足首周りの疲労は感じなくなりました。
シューズの独特な感覚に慣れる必要があるのかもしれません。
その後最終盤では
遠心の筋(ふくらはぎ)の疲労よりも
中心部の筋(ハムストリングス)の疲労を感じて走れたので
やはり
走り方(特に足首の固定力)が重要なシューズに感じました。
トレーニングの結果についても
当日決めた練習予定よりも、速度は90%前後の達成。
走行距離は120%前後の延長ができたので
トータルで見ればいい練習になったと思います。
ズームフライ6の詳細評価
下記のトピックで具体的に数字で評価したいと思います。
- ・履き心地・フィット感:80点
- ・快適性:45点
- ・推進力:60点
- ・クッション性:70点
- ・軽量性:60点
- ・耐久性:80点
- ・コスパ:80点
履き心地・フィット感:80点
履き心地は高めで評価させていただきました。
脚全体にフィットする感覚がよく、
シュータンのクッションと履き口のクッション感が
ピタッとフィットし非常に心地よく感じます。
またかかと部分の、外側に抜けるような設計が
アキレス腱への干渉をせずに
ストレスフリーで履くことが可能です。
快適性:45点
履いている時にはそこまで気になりませんでしたが、
気温23度の秋の天気の中、
ロングジョグで使用終了後
シューズを確認したところ想像以上に汗で湿っていました。
他のシューズではあまり感じたことのない感じでしたので
やや通気性は低いのかなと思います。
ですので快適性と言う点でマイナスの評価
とさせていただきました。
おそらくアッパーの2層構造が問題となっているのかもしれません。
アッパーの耐久性は上がっているものの、
その分通気性は下がっているように思います。
推進力:60点
使用されているカーボンプレートは、ヴェイパーフライよりも
剛性の低い素材が使用されています。
その分扱いやすくどんなレベルのランナーにも使えるイメージがありますが、
逆を言えば、物足りない印象にもなり得ます。
カーボンシューズは多用しすぎると
故障のリスクも高いと言われており
デイリーに使用することはお勧めできません。
しかし、
高強度なトレーニングにはやや推進力に欠けてしまい、
役不足感もあります。
クッション性:70点
クッションは非常に柔らかさを感じます。
さすがのzoomXといった感じです。
実際の走行時も柔らかい沈み込みを感じます。
走っていて不安定さも感じませんでした。
ただし厚底シューズの特性上、
くだり坂などの傾斜の強い路面では
やはりぐらつく感覚はあったと思います。
軽量性:60点
実測値26.5cmで240gでした
前作ズームフライ5が270g前後あり重いというネガティブな評価もありましたが
今回のアップデートで「ズームフライは重い」
と言うイメージを払拭したように思います。
さすがに200gを切るようなシューズと比較すると
走行時はシューズに振り回される感覚もありましたが
デイリートレーナーシューズと考えれば比較的軽い方だと言えます。
耐久性:80点
耐久性は高そうです。
特にアッパーに関しては
ケミカルな生地とメッシュ生地の
2層構造になっているので、
早々にアッパーがダメになることはなさそうです。
グリップ部に関しても溝も深く、
ある程度走り込んでもグリップが擦れてなくなる心配もなさそうです。
ヒールのグリップも溝が深く、
耐久性は高そう。
コスパ:80点
価格は18700円。
どれも耐久性に優れ、
ある程度の速度帯までカバーできる性能を
持っているシューズですので
コストパフォーマンスという点に置いては
優れていると思います。
ただし、
下記でも解説しますが使用用途がだいぶ限られてきますので
おそらく年間を通しての活躍の場面は少なく、
思っているよりは使わずに倉庫番をすることになりそうな感じもします。
おすすめの使用用途:中強度〜やや高強度
上記の評価を踏まえ、
想定される利用シーンは
基礎期のペース設定が緩いロングジョグや、
脚作りのためのロングジョグ
また、
ペースの設定はないものの
調子次第ではペースが上がればいいなという程度の
緩めの設定のトレーニングで利用していくシューズになると思います。
レース用としても使えなくもない
カーボンの扱いづらさはあまりないので、
接地時間の長いランナーのレーシングシューズにも使えると思います。
レースでも
脚抜けを早くしてスピードを持って走りたい場合は、
より軽量かつカーボンの跳ね返りの強い「ヴェイパーフライ」はオススメ。
脚抜け感よりも一歩の踏み込みの安定感を求める場合は
こちらの「ズームフライ」がオススメです。
筆者がはじめてフルマラソンで2時間30分を切ってゴールした時に
着用していたシューズもズームフライ(初代)でしたので、
ある程度のレベルのランナーにまで幅広く対応したシューズであると思います。
まとめ:確実な用途があれば良シューズ
ナイキのズームフライ6は、ヴェイパーフライのトレーニングモデルとして進化を遂げた厚底シューズです。
長年続いた軽さを度外視するアップデートから軽量化を実現し、「重いシューズ」のイメージを払拭。
ZoomXフォームの増量とEVAソールの2層構造、
柔らかめのカーボンプレートを採用することで、
幅広いランナーに対応できるモデルとなりました。
価格面では競合モデルと同等で、コストパフォーマンス高い印象を感じました。
しかし、
使用シーンが限定的なため、
年間を通じての活用頻度は低くなる可能性も感じました。
総合的に見て、
ズームフライ6は軽量化と耐久性のバランスが取れた
万能型トレーニングシューズとして、
幅広いランナーに適したモデルと言えます。
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