ミッドソール素材やプレートの素材の違いを知る
ランニングシューズのミッドソール素材やプレートの素材は、
走りの感触や走パフォーマンスに大きな影響を与える重要な要素です。
これらの素材の違いを知ることは、
ランナーにとって最適なランニングシューズを選ぶ上での重要なポイントです。
この記事ではさまざまな素材の特性を解説しています。
あなたの走りの用途に合った最適な素材を選択し、適切なランニングシューズを選びましょう。
ミッドソール
ランニングシューズのミッドソールは、
靴底とインソールの間にある部分で、
足への衝撃を吸収し、足の安定性や快適性を提供する重要な要素です。
ミッドソールは、発泡性の素材で作られており、
これによって足にかかる衝撃を緩和し、
歩行やランニング時の負担を軽減する設計となっています。
現在のランニングシューズに使われるメインファブリックは
レーシングシューズならPEBA、
ジョギングシューズにはEVAが代表的です。
一般的に反発性や軽量性・エネルギーリターン性などの性能が高い順に、
PEBA>TPU>EVAとなりますが、
価格や耐久性は逆になり、
PEBA<TPU<EVAとなります。
下記にてそれぞれの素材の詳細を解説します。
PEBA
PEBAはポリエーテルブロックアミドの略で、
合成樹脂がメイン素材です。
軽量性やリターン性の高い素材で
高性能ランニングシューズに搭載されますが、
デメリットは耐久性の低さが挙げられます。
代表的なミッドソール例:
On HelionHF
NIKE ZoomX
ADIDAS ライトストライクプロ
NB 一部FuelCellコンパウンド
TPU
TPUはthermoplastic polyurethane(熱可塑性ポリウレタン)の略称です。
ゴムのようにしなやかな弾力性と
硬質プラスチックのような強さを合わせ持った素材です。
代表的なシリーズとしては
ナイキのリアクトシリーズ。
リアクトシリーズの評価点は、
クッションが長持ちということ。
この特徴は、
TPU素材ならでの特徴なのではないでしょうか。
代表的なミッドソール例:
ADIDAS ブースト
NIKE リアクト
EVA
EVAはEthylen-Vinyl Acetate(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)略称です。
安価で耐久性が高いのが特徴でその特性上、
デイリートレーナーシューズに広く採用されています。
代表的なミッドソール例:
On Helion /HelionSF
ADIDAS ライトストライク
NIKE AIRzoom
OBC
オレフィンブロックコポリマーの略称で
OBCはそれ単体で使用されているシューズはほとんどなく、
基本的には上で紹介した素材に一定配合したものが多いです。
OBC素材の特徴はつぶれからの回復力。
耐久性を向上させるためにシューズの素材に使われることが多いようです。
代表的なミッドソール例:
On Helion はEVA+OBC
UA HOVRはEVA+OBC
アシックスFFブラスト(+)はEVA+OBC
各社の競争の焦点:超臨界発砲
ミッドソールの素材は基本的に
この3つが主流です。
ほとんどの場合メーカーの公式では明記していないのですが
基本素材は同じだと思います。
では、
各社メーカーのミッドソールの違いはどこになるのでしょうか。
それは「超臨界」と呼ばれる素材の加工にあります。
わかりやすくいうと、
素材に空気を注入し膨らませます。
素材の中に空気を入れることで
素材自体の密度が下がるわけです。
そうすると想像に容易く、密度が減るので
より軽量にかつ、クッショニングが増し
柔らかさを生み出すのです。
しかしこれにはデメリットがあり、
それは「耐久性」です。
密度が低くなる分、
潰れやすく脆いものとなります。
ミッドソールのしわなどが早くついてしまうのは
まさしく超臨界によるデメリット部分であると言えます。
この、反発性軽量性をもとめつつ、耐久性をできるだけ保たせる
ことに各メーカーはしのぎを削っているのです。
スーパーシューズは優れたサポート性能があるが、
すぐにヘタってしまう。
プレート
プレートの有無は推進力に大きな差を生みます。
硬いプレートがシューズに搭載されることで、
そのプレートを曲げて帰ってくるしなりを利用し、推進力へとすることができます。
![](https://runner-yukiyamada.com/wp-content/themes/yukiyamada-template/icon/icon_author.png)
長距離・マラソンで大きな結果を残しているアフリカ系のランナーたちは、
非アフリカ系ランナーに比べ、
下腿筋群の筋束長が長いこと、
アキレス腱のモーメントアーム長が
強さの一つだと証明されています。
プレートの搭載は、
ランニングエコノミーを上げるために
必要不可欠なシューズ性能の一つですが、
使われるプレートの素材によっても特徴は様々です。
下記にて、
主に使用されるプレートの素材を解説していきます。
用途に合ったプレートを選択しましょう。
※プレートシューズについてはランニング障害の一つの要因にもなりえます。
プレートシューズとケガの関係性はこちらの記事をご覧ください。
Pebax
Pebaxはpebaを使用した素材でアルケマ社の商標。
カーボンよりも柔らかくしなりやすいのが特徴。
その性質上、レーシングシューズのみではなく
デイリートレーナーにも広く採用されていることもあります。
代表的なシューズ:
NIKE ドラゴンフライ
HOKA MACHX
ミズノWAVE RIDER 24
カーボン
スパイクシューズや
トップ選手向けの厚底レーシングシューズの
メイン素材として有名なのがこのカーボン。
一般的な感覚としては、
プレート自体が硬度のが高いので、
しっかりとしならせることができれば
この上なく推進力を得ることができます。
その反面、
レース終盤に疲れて接地が甘くなると
しならせることができずスピードが生み出せなくなるのも特徴です。
代表的なシューズ:
NIKE ヴェイパーフライ
NIKE エアズームビクトリー
ADIDAS アディオスプロ3
ADIDAS アバンチ(24年モデル)
NB SCv4
On Cloudboomecho3
asics メタスピードシリーズ
グラスファイバー
グラスファイバーは非常に柔らかい素材でしなりやすいのが特徴です。
しかしその反面しなったプレートが推進力に生まれ変わるパワーも弱いのも特徴。
推進性は低く、どちらかというと安定性に寄与している程度のものです。
代表的なシューズ:
ADIDAS アバンチTYO
ADIDAS ボストンシリーズ
TPU
こちらもあまりプレート素材としては多くないですが
一部シューズに使用されています。
非常にしなりが柔らかく、
海外サイトのレビューをみると
ほぼプレートレスシューズとシューズの剛性力は変わらないようです。
入っていることで大きなメリットもなければ、デメリットもないとも言えます。
プレートの推進補助により、安定感は増す印象があります。
代表的なシューズ:
Onシューズ全般のSpeedboard
参考
https://jp.shincellfoam.com/news/midsole-core-of-a-pair-of-sports-shoes.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fiber/65/5/65_5_P_150/_pdf
https://runrepeat.com/guides/running-shoe-foams-guide
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