【アディオスプロ4レビュー】唯一の欠点だった重さが改善した良シューズ
こちらの記事ではアディダスの
アディオスプロ4をレビューします。
アディダスといえば、2025年箱根駅伝では
ここ最近続いていたNIKEの独占市場を遂に奪取し、
出場選手着用率No1となりました。
【動画で確認する】
トップ選手からも信頼のあるシューズとなったアディオスプロ4ですが、
実際に着用する中でこのアディオスプロ4の良いところはもちろん、
気になる点もわかってきましたので、
きっちりレビューしていきたいと思います。
【動画でも解説】
目次
実際に履いた感想
実際に足入れをしたリアルな情報を解説していきます。
こちらが到着したアディオスプロ4。
シューズボックスは特段プレミアムな感じはなく、
いつものアディダスのシューズボックスって感じです。
いざ開封。
筆者が手に入れた駅伝パックモデルのカラーは
シルバーを基調にして、アディダスのロゴが赤色というなかなか奇抜なカラーリング。
このカラーリングも嫌いではないが、
プロ4のプレスリリース時に発表されていた白貴重なカラーリングの方が好み。
サイズ感・フィット感は上々
実際に履いてみます。
筆者は26.5cmで購入。
前作も同じサイズ。他のアディゼロシリーズも全て26.5cm。
やや横幅が大きく感じますが、
ワンサイズ下げるとそれはそれで縦に窮屈さを感じそう。
狭いシューズよりも多少ゆとりがある方が使いやすい。
アッパーの収まりは個人的には非常に良い。
アッパーの素材(ライトロック)が前作よりも良くなっている。
前作は、硬いデニムのような生地だったのですが、
今作は、薄くて伸び感の生地となっています。
ファーストフィッティング
少し足踏みをしてみる。
ソールの柔らかさを非常に感じる。
ミッドソールにはライトストライクプロをフルレングスで採用。
今作のライトストライクプロは
前作同様、PEBA素材を使用した臨界発泡で密度を調整した素材。
公式では公表していないが、前作のアディオスプロ3やEvoSLと同じ素材ですが、
密度は荒く設計されており、
より柔らかいソールとなっています。
柔らか過ぎて逆にレスポンスが遅くならないか心配になるくらい。
(実際に走行してみると心配無用で、
きっちり必要な反発はあります)
履いた時点で、
と感じます。
速度によって変わる接地感
色々な速度でジョグをしてみます。
ゆっくりとした接地であれば非常に柔らかく、
素早い接地では、ある程度硬度を感じるミッドソールとなっています。
この時点で、明らかにサブ4やサブ3.5のような
足の返しが必然的に遅くなる速度帯では
やや相性は悪く、サブ2.5などある程度、接地の速度を求められる速度帯との相性は良さそう。
個人的にはサブ3(4’15/km)でもシューズのレスポンス的には、
やや扱いにくい。
やはりキロでいえば4’00/kmを切るペース、
厳密に言えば3’50/km程度の速度帯でないと
このシューズの真価を受け取れないと思う。
実際にマラソントレーニングで使用。
行ったトレーニングは下記の通り。
1.1km*8r200mjog
ハーフマラソン程度の速度帯で行う、
筆者にとっては定番的なトレーニングとなる。
(使用した公園が1.3kmの周回コースの都合で1.1kmの疾走とした)
実際にこのシューズの想定使用速度帯でのトレーニングとなる。
万人受けとなったロッカー機能
実際にレースペース付近で使ってみると評価が変わることも往々にしてある。
やはり実践練習でどれだけ使えるかがとても重要となります。
実際に履いてレースペースで走ってみると
前作ほどの突き抜けた感覚がない。
よくいえば万人にも受け入れられる履き心地。
悪くいえば、良さを失った感じがします。
前作アディオスプロ3はロッカー機能が高く、
積極的に慣性を超えてバランスを崩されるような構造になっていましたが、
今作アディオスプロ4は、
そのロッカー機能は弱まっているように感じます。
自分できっちり押し出すポジションに入りに行く感覚が必要。
推進力は高いが、練度が必要
推進力は高く感じますが、うまく履きこなせないランナーも多いような印象。
筆者の感覚的には、
しっかり走り込んでフォームが洗練されている時には、
自然と正しい位置に接地ができる(重心を乗せることができる)が、
そうでない場合、
例えば故障明け(長期の休み明け)の練習では、うまく重心を載せれずに
ただのシューズにしか感じないと思います。
実際に筆者自身がそう感じて、
体調不良明けの復帰練習で使用した際に全くシューズが弾まず、
ただの軽いシューズにしか感じないということがありました。
前作のプロ3に関しては、いつでも履けるというか適当に走っていても走れるように感じます。
その反面、キツくなった時にうまくシューズに体重をかけきれなくなる印象がありました。
今作は逆に、キツくなった時に扱いにくい
(シューズの性能がマイナスに働く)という感覚はないものの、
きっちり履きこなせないと
ただのランニングシューズと化してしまう(プラスにならない)。
感覚はasicsのエッジパリにも近いように感じます。
ヴェイパーフライネクスト%2にも近いかもしれません。
ヴェイパーはより、つま先が薄く地面と近い。
上記2足と違うのは、
より厚みと反発を感じる点。
前足まで分厚い感覚もあり、
最終押し出しまで、ブヨっとした感覚がある印象。
シューズの恩恵を受けたトレーニング結果
結果、トレーニングとしては、
3’05~2’58/kmでこなすことができました。
当初の予定では3’10/kmでやる予定だったことを考えると
想像以上にスピードに乗っているのは
わかっていただけると思います。
さらにさまざまなトレーニングを行い、
期間をかけて様々なトレーニングで使用して感じた
良い点悪い点を解説します。
良い点
個人的に感じるアディオスプロ4の良い点は下記2点
・推進力が高い
・軽量性
高い推進力
推進力を非常に感じます。
基本、使用した高強度なトレーニングでは
概ね設定をハズすことはなく走れています。
それどころか、設定を大きく上回る出来で行えています。
履いた自分としては明らかにシューズの恩恵を受けているなという印象。
という強度を超えてランニングができているな
という感じ。
高い推進力のおかげかなと思っています。
軽量性:26.5cmで195g
前作の唯一と言ってもいいデメリットであった軽量性も
大幅に改善されているのも良い点です。
26.5cmで一足195g。
前作は217gでしたのでおよそ20gの軽量化が図られています。
他のメーカーのレーシングモデルと
引けを取らないレベルの軽量性を兼ねています。
悪い点
ここからは
実際に履いていて気になる点を記載します。
とはいえ、
挙げた内容は強いてあげるなら程度、
次回作などでアップデートしたら
さらに良くなるだろうと思うくらいのものです。
正直、現状で100点の出来に思います。
・接地のインパクトが弱いとうまく進まない
・グリップ力は低い印象
接地のインパクトが弱いとうまく進まない
これは他のシューズもそうですが、
反発をもらうにはきっちり踏み込んだ足を
押し出すポジションまで待つ感覚が必要です。
ライトストライクプロを踏むだけでは鉛直上への反発になりますので、
きっちりと前に進む水平面上の力に変換しないといけません。
アディオスプロはこのパワーポジションへのオートマチックなロッカーが魅力のシューズですが、
これが前作と比べると弱くなっている印象があります。
前作アディオスプロ3の場合、ロッカーがかなり効いており、
何も考えなくても推進力に変わる感覚がありましたが、
アディオスプロ4の場合、
ロッカーが弱くなっている分、
自分自身でパワーポジションに入らないといけません。
アディオスプロ3の自然と押し出される感覚が好きだった方は
履き始めに物足りなさを感じるかもしれません。
個人的にも前作の感覚はとても好きでしたので、
最初履いた時には、普通のシューズに近くなったなと思いました。
ランの練度が下がっている復帰練習で顕著
実際にこう感じたのは、
体調不良明けのトレーニングでハマらなかったからです。
うまく走りこんでいた時は、
うまく重心ごと踏めてグングン進む感覚がありましたが、
体調不良明けのポイント練習で使用した際、
シューズの恩恵を感じにくいなと感じました。
自分の走りの感覚的にも
スピードに対して体感が抜けて仰反るような走りになっているなと感じていたので、
まさにその状態では接地にインパクトを乗せることができず、
うまく前に進みませんでした。
ただし、
前作アディオスプロ3の半ば強制的なロッカー機能は諸刃の剣。
マラソン終盤などの、苦しい走りになった時にはむしろマイナスの影響となります。
前作のレビューでもよく言われていたことで、
この強制的なロッカー機能を改善したシューズとも言えます。
グリップ力は低い印象
こちらも若干、感じるところで、
グリップは効きにくいなという印象。
雨で濡れたトラックの場合、若干走りづらいなと感じます。
個人的には、グリップ力を
ナイキ、アシックス、アディダスのシューズで比較すると
VFN3>AP3>VFN2>MSP>AP4
といった感じです。
雨天のロードは特に気にならないので、
あまり気にするほどのことではないかもしれませんが、
トラックメインで利用を考えている場合は、
グリップ力を確認した方がいいかもしれません。
靴ズレについて
前作では長距離使用していると靴ズレを起こしてしまうという
致命的な足の合わなさがありました。
前作はかかとおさまりの部分が硬く、
アキレス腱を擦りむいてしまっていましたが、今作では柔らかくなっており擦りむきをしにくい構造になっています。
意外と同じように感じている方も多かったようで、
今作のアッパーのアップデートについて気になる方も多い印象です。
(それでも選ばれていたのはシューズの性能に魅力を感じていた人が多かったのだと思います。
筆者もその一人で、レースでは靴擦れする箇所にテーピングして使用していました。)
前作で靴擦れすると言われていたのは
主にシュータン先端の親指の付け根にあたる部分、
それとアキレス腱。
これらに関してはアップデートによって改善されており、
シュータン部分はボンドのような接着部分はなくなり、
かかとについても柔らかい素材になっており
靴擦れは起きにくいように改良がされています。
実際に長距離のトレーニングでも着用しましたが、
靴擦れすることなく使用することができました。
This too shall pass:これも過ぎ去るだろう
というメッセージが。
アディダスのモノづくりが、ここが最高地点ではないという意味だろう。
こういったアディダスのモノづくりへの探究心は非常に魅力を感じます。
まとめ
以上、アディオスプロ4のレビューをしてきました。
前作のような強めのローリング感はなくなり、
万人受けしやすいシューズになったものの、
アディオスプロシリーズ特有の前足部にまである厚底感は健在で
最終の押し出しまで
厚底シューズを感じることができるシューズとなっています。
推進力についても過去作に引けを取らないものとなっており
良アップデートと言えます。
商品詳細
メーカー:Adidas
箱根駅伝でのシューズ着用率がついに
ナイキを抜いてトップシェアになりました。(2025年)
商品名:アディゼロアディオスプロ4
アディダスのタイムを求めるアスリート向けのシリーズ【アディゼロ】。
そのアディゼロの中のハイエンドレーシングモデル。
カーボン:エナジーロッド2.0
アディオスプロ特有の5本指のカーボンバーを搭載
2.0は前作からロッカーポイントを中心部に来るように改良。
これにより、前作のようなガクッと落ちる感覚がなくなった。
ミッドソール:ライトストライクプロ
使われているライトストライクプロの素材は、
前作のプロ3やEvoSLとは密度が違うようで、厳密には違う素材のようです。
(プロ4のものの方が密度が荒くより柔らかい素材)
重量:195g(26.5cm)
片足で195g。
アンダー200gでレーシングシューズとしては軽量と呼べる。
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