フルマラソンでも速筋を強化しなければいけない理由
先日こんな内容でツイートしました。
【まじ!?】
マラソンレース後半は持久力のある速筋が多く動員されるらしいよ!持久型の速筋を身につけるために、
マラソントレーニング中にも、
普段のトレーニングに200m5本とか追加して速筋しばいといた方が良いのかな。 pic.twitter.com/zQMv4DAYgN— ランニング食堂 (@112233barreal) July 28, 2023
とても反響がありましたので、私なりの考えも入れつつ話していきたいと思います。
動画でも話しています。合わせてどうぞ。
ツイートの内容をざっくりとまとめると以下のような感じです。
・マラソンレース後半は速筋が動員される、速筋は酸素効率が悪く後半のペース失速は余儀なくされる。
・つまり、後半ペースを落とさないようにするには速筋の持久化が必要。
・速筋の持久化には速筋を使うことで持久力のある速筋が出来上がります。
・そのためにマラソントレーニング期間でもスプリントトレーニングは必要なのかもしれない。
といった感じです。
このようなことを考えた背景は、
・筆者自身が、どうすれば後半の失速を防げるのか。
・また、自分自身の武器を伸ばすにはどうしたらいいのか。
を考えていたからです。
自分自身の武器はやはり筋肉質であることだと思ってます。
筆者自身は、マラソン2時間17分程度で走れる走力ですが、
このレベルになると、私と大きく違う体をしている人がとても多いです。
それは線の細さです。
筆者自身は体の線が太く、マラソン体系とは言えないかもしれません。
この太さが筋肉からきているものと考えると、
一般的には筋肉の太さは速筋・遅筋の違いかと思います。
今回の話では、筋肉の性質の知識が必要ですのでまず持って説明します。
押さえておく知識
筋肉にはざっくりと3つの種類があると言われています。
遅筋(タイプⅠ)と速筋(タイプⅡb)と持久力のある速筋(タイプⅡa)です。
遅筋(タイプⅠ)は、パワー発揮能力は低いですが持久力のある筋肉です。(エコ)
速筋(タイプⅡb)は、パワー発揮能力は高いですが持久力が低いです。(エコじゃない)
持久力のある速筋(タイプⅡa)は、Ⅱbが恒常性によって持久力を持つようになったものです。(中間)
遅筋を速筋に、速筋を遅筋にということはできませんが、速筋には持久力を持たせることはできます。
こういったところから自分のマラソンへのアプローチを考えており
本やネットを漁っていたところ今回のツイートのような内容に行きつきました。
今回は、いくつか文献を漁っていく中でマラソントレーニングのヒントになるかもというところで
記事を読んでいただいている皆さんにも役に立つかなと思いますので、
ぜひ最後までお読みください。
筋肉についてより詳しく分かりやすく知りたい方はこちら
目次
なぜマラソン後半はペースが落ちるのか?
マラソンでは主に遅筋がメインで働きます。
その遅筋もフルマラソンを走っていればどこかで疲弊してきます。
フルマラソンを競技として走っている方は、必ずゴール地点で体力がゼロになるように長く速く走ります。
ゆっくり走っているわけではないので、遅筋も疲弊します。
そうなると速筋が動員されるわけです。
しかし、上述しましたが速筋は持久力に乏しいため動員したとしても
持久力がありません。動かすためにはたくさんエネルギーを使います。
エネルギーを効率よく使うことができないということは、ランニングエコノミーが低下することなので
おそらくそれが原因でレース後半は失速するものだと思います。
より詳しく知りたい方はこちらの本をお読みください。
マラソン後半は速筋が動員される。速筋に持久力を持たせる。
こちらの研究では、マラソン後半における速度の低下と筋パワーの低下を調べたものですが
長距離走において優れた成績をあげるためには、
高い筋力・筋パワーを有することだけではなく
走行中にそれを高い水準で維持することが重要であると言われています。
また、この研究内ではパフォーマンスの高い選手は後半の落ち幅が少ないと結論されています。
マラソン後半では速筋が動員されペースが落ちてしまうこと、
エリート選手(トレーニング年数や質が高い人)は落ち幅が少ないこと
を考えると、速筋を持久性のあるタイプⅡAに変化させることが必要であると言えます。
ではどうすれば持久的速筋(ⅡA)にすることができるのか?
以上のことからある程度、
長距離の基礎的なトレーニングで記録の頭打ちがきた方や、
レース後半どうしてもペースが落ちてしまう方は
速筋を強化(持久力を持たせる)することが必須なのかもしれません。
速筋の持久化(Ⅱa化)は簡単で、使っていれば持久力を持つようです。
と考えれば、トレーニングは下記が効果的かと思います。
・レジスタンストレーニング、プライオメトリックストレーニング
・スプリントトレーニング
・ロング走(後半に速筋が動員され始めるくらい長く)
レジスタンス・プライオ
速筋は瞬発力や筋力が高いため
レジスタンスでは高重量を扱い、
プライオメトリックスでは、より素早い動きを意識することが重要かと思います。
具体的トレーニング
・高重量での下半身のトレーニング
・ジャンプトレーニング
スプリントトレーニング
こちらも高強度で行うことが重要ですので、
200m程度の全力走が有効かと思います。
200m10本程度をできるだけ間隔を空けて行います。セット間は3〜4分程度でしょうか。
また、個人的にはロング走などのマラソン練習の後に200mの流しを入れるのもいいような気がしています。
僕自身もできる時にはトレーニングの最後に200mの流しを入れるようにしています。
例えば、20km程度のジョグの後に200mの流しを3本程度などです。
具体的トレーニング
・200mスプリント
ロング走
マラソン後半に速筋が動員されるということはロング走でも速筋を使うことができるということですので、
速筋が動員される程度の長い距離を走るのはやはり有効であると思います。
具体的に何キロ以降で速筋が動員し始めるという明確な指標がないので具体的数字は表せませんが
僕の経験的には足が重くなった状態以降が速筋も動員されていると思います。
また、さまざまなランニングの本には25km以降がロングランと定義されているものが多い気がします。
しかしただ長く走ればいいとLSDを選択してはいけないと思います。
遅筋が疲弊するからやむなく速筋を使うので、ゆっくり走っていても速筋は働かないと思います。
そう考えれば、LSDや普段のジョグのペースではなく、
ある程度速いペースでそこそこ長い距離を走るのが理想なのかなと思います。
具体的トレーニング
・ロング走(LSDではない)
まとめ
今回はマラソン後半に速筋が動員されるのであればトレーニングでは積極的に速筋を動員すべきなのでは?
という疑問から記事にまとめてみました。
まとめると…
・マラソン後半では速筋が動員される
・速筋は持久力がないためエコノミーが低下する
・その影響もありペースを維持できなくなる
・速筋は持久力を持たせることができる
・であれば速筋を強化することが必要である
・速筋を鍛える方法は下記
レジスタンストレーニング
スプリントトレーニング
ロング走
となります。
参考
・マ ラソンレースにおける走速度の低下と筋力 および筋パワーの低下との関係
・アスリートLab
・アドバンスドマラソントレーニング
・パワーズ運動生理学
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