カフェインとパフォーマンスの関係
“カフェインをレース前に飲むといいらしいよ。”
そんなことを聞いたことはありませんか?
実際にカフェインは長距離のパフォーマンスを向上させることができると、
あらゆる研究で言われています。
とある研究では持久力が3.3%増加したという研究もあるそうです。
実際に、カフェインは、
2004年までのアンチドーピング基準では禁止されていたこともあるほどです。
それだけカフェインの競技への影響があるということです。
そんな長距離のパフォーマンス発揮に欠かせない「カフェイン」ですが、
摂り方を間違ってしまうと、
逆にパフォーマンスを下げてしまう可能性もあるのです。
今回は、長距離ランナーなら必ず知っておきたい
「カフェイン」の知識を解説します。
この記事を読んでほしいかた
・レースで結果を出したい方。
・カフェインの正しい摂り方を知りたい方。
・マラソンパフォーマンスとカフェインの関係
目次
レース前にカフェインを摂るメリット
カフェインは有酸素運動におけるパフォーマンスを向上させるというのは
あらゆる研究データより確認することができます。
主なカフェインのメリットは、
・自律神経への刺激
・高揚感・集中力の向上
・脂肪利用率の向上
が挙げられます。
これらのメリットは短距離種目にはあまり効果がないようでして、
心理的要因の高い長距離種目のパフォーマンス向上への影響が大きいようです。
自律神経への刺激
自律神経系と呼ばれる体の神経の一部(交感神経と副交感神経)に
影響を与えると言われています。
この二つの神経は体の機能を自動的に調整し、
バランスを保つ役割を果たしています。
・交感神経
興奮や活動時に働く神経。ストレスや急な活動に対応するときに働きます。
心拍数が上がり、気管支が広がり、エネルギーが増えるなど、エネルギッシュな状態を促進します。
・副交感神経
リラックスや休息時に働く神経。食事を摂ったり、寝るときなどに働きます。
心拍数が下がり、消化器官が活発になり、体がリラックスした状態になります。
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このカフェインは交感神経を刺激することで、
集中力が上がり、それがパフォーマンス向上につながるようです。
いわゆる集中できている状態ということです。
高揚感・集中力の向上
カフェインには脳を覚醒させ、
疲労を軽減する作用があると言われていますが、
カフェインは、疲労を感じさせ眠気を誘発するアデノシンの作用を抑える効果があります。
余談ですが…
アデノシンと聞くと、エネルギーの元とるATP(アデノシン3リン酸)が頭に浮かんでくる方は、
競技への理解が高いと思います。
アデノシン三リン酸は、エネルギーを生み出したあとに、アデノシンというものになります。
このアデノシンの飽和が眠気を誘発させるようで、マラソンなどの疲労と関連してそうですね。
運動後に増えるアデノシン、このアデノシンの疲労を感じさせる作用をカフェインが抑えてくれるのであれば、
マラソンレース後半に摂取するのは正しい選択のようです。
脂肪利用率の向上
人は、安静時には糖と脂肪を1:2の割合でエネルギーを生み出して生命活動をしています。
この利用割合は運動強度が上がるにつれて変化し、
LT(乳酸製作業閾値)より上の強度あたりから、
糖と脂肪の利用の割合が1:1くらいになっていき、
徐々に糖の利用割合が中心となってきます。
カフェインは、脂肪の利用効率を高める効果があり、
糖をできるだけ最後まで温存したいマラソンレースでは有利に働いてくれます。
実際に2004年以前までは、世界アンチドーピング規定によりカフェインは禁止されていました。
それだけ作用・副作用が大きく認められていたと言えます。
(逆を言えば禁止じゃなくなっているのでそんなに大きな効果は期待できないとも言えますが…)
参考書:
過剰に摂取しても効果は変わらない(逆に低下するかも)
カフェインの過剰摂取はパフォーマンスの低下の可能性もありそうです。
9mg/kg以上の摂取は、それ以上のパフォーマンス向上は見られないばかりか、
過剰摂取はパフォーマンスを低下する可能性もありそうです。
とあるトライアスロン(ショート)での
カフェイン摂取量によるタイムの変化を見た実験では、
少ないカフェイン含有のエナジードリンク(低エナ)と、
高いカフェイン含有のエナジードリンク(高エナ)と、
プラセボ(ぶどうジュース)でタイムを比較したら、
タイムが速かった順に、
低エナ→プラセボ→高エナ
となったそうです。
つまり、高いカフェイン含有のエナドリでは
タイムの低下を招いたということです。
過剰な摂取は向上効果が低減するばかりか、
パフォーマンスを低下させる可能性があるだけではなく、
様々なリスクも考慮して摂取する必要があります。
カフェイン断ちは効果あるのか?
ランナーの中には、レース前、数日間「カフェイン断ち」を行う方もいらっしゃると思います。
メカニズム的にはカーボローディングと同じで、
一度、体内の中のカフェインを枯渇させて、
レース当日にカフェインを摂取し、
普段よりも強い刺激を得るというものです。
このカフェイン断ちの効果は、結論としては、「あまりない」ようです。
しかし、
カフェイン断ちを数日してから、
カフェインを摂取すると
覚醒感をより感じやすくなるのは、
経験則からも実感します。
個人的には、メンタル的なところへの影響が大きいと思うので、
抜いた方がカフェインの効果は大きいような気はしています。
ビールに例えると、
1週間禁酒して飲む1杯目のビールって美味しいと思いますが
そういうことです。
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レース当日のカフェインの摂り方
レース当日の適切なカフェインの摂り方を紹介します。
いつ摂取するの?:レースの15分〜60分前
個人差はありそうですが、
カフェインを摂取してから15分から血中のカフェイン濃度が上昇するそうです。
個人的には45分前くらいに摂取するのがおすすめです。
ウオーミングアップ前に摂取するとちょうど良いと思います。
どのくらい摂取するの?:3〜7mg /kg
体重1kgあたり3〜7mgは摂取する必要があるそうです。
体重50kgの人であれば、150mg〜350mg
体重60kgの人であれば、180mg〜420mg
となります。
参考までにカフェイン含有量が多いドリンクは下記の通りです。
レッドブル(250ml):80g
モンスター(355ml):142g
インスタントコーヒー(150ml):85g
コカコーラ(500ml):50g
缶コーヒーキリンファイア:70g
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※一日の推奨摂取量は400 mg/日とされています
摂りすぎには注意が必要です。
ここぞのレースの時にのみ試すようにしてください。
普段のトレーニングから常飲は控えた方が良さそうです。
筆者の場合
最後に筆者の「カフェイン」への考えを書いておきます。
まず、カフェインの覚醒作用はとても実感しています。
ですので、可能ならレース当日は「カフェイン」を摂取するようにしています。
しかし、コーヒーでの覚醒感はあまり感じず、
エナジードリンクの方が覚醒感を感じます。
もしかすると、
糖分が一緒に取れて血糖値が上がることが影響しているのかもしれません。
そういったこともあり「モンスター」や「レッドブル」を
好んで飲用していましたが、
血糖値の問題を考えて、マラソンなどのレースでは控えるようにしています。
血糖値が急激に上がると、急激に下がることになるので、
脳が疲労感を体に出してしまうことになるためです。
マラソンレースでは、レース20km以降に
1本、モルテンのカフェインジェルを摂取するようにしています。
カフェインの含有量は100mgとやや数値的には低いものの、
使用したレースでは、好走することも多く
一番使い方的にはハマっていると言えます。
まとめ
ということでカフェインとパフォーマンスの関係について解説しました。
・摂取量は体重1kgあたり3~9gが理想
・摂取しすぎは逆効果にもなるかも
・効果は15分後から始まり60分でピークになる
・エナジードリンクはカフェインとは別の問題もあるかも
カフェインとは上手に付き合って
レースで高パフォーマンスを出し続けていきたいですね!
参考:(外部リンクに飛びます)
Do You Really Need a Pre-Race Caffeine Detox?
Caffeine effect on extending time to exhaustion
The effect of different dosages of caffeine on endurance performance time
Dose caffeinated energy drink is a consideration issue for endurance performance
短距離陸上選手における運動前のカフェイン摂取がパフォーマンスに与える影響
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